梅雨の「ジメジメ」が皮膚と耳を狙う──愛犬・愛猫のトラブルを防ぐケアと早期サインの見つけ方|AnimaLog(アニマログ)この記事は一般的な情報提供です。気になる症状は、まずAIの問診でセルフチェックしたうえで、 動物病院にご相談ください。緊急時は夜間救急へ。
AIに症状を相談する梅雨に入ると、愛犬・愛猫のからだにひっそり変化が起きていることがあります。いつもより体をかく回数が増えた、耳のにおいが気になる……。そんな小さなサインを見落とさないために、この時期に特有のトラブルのしくみと対策を整理しておきましょう。
なぜ梅雨に皮膚・耳のトラブルが増えるの?
根っこにあるのは「高温多湿」です。
犬や猫の皮膚には、マラセチア(酵母菌の一種)やブドウ球菌などの常在菌がもともと存在しています。健康な皮膚ならこれらは問題を起こしません。ところが梅雨の時期は気温と湿度が上がり、被毛の下が蒸れやすくなることで皮膚のバリア機能が低下し、常在菌が異常に増殖して炎症を引き起こしやすくなるとされています。
また、湿度が高い環境ではノミやダニも繁殖しやすくなります。これらがかゆみやアレルギー反応の引き金になることもあるため、梅雨〜夏にかけては特に注意が必要な季節といえます。
耳についても同じしくみが働きます。犬の外耳はL字型の構造をしているため、もともと湿気がこもりやすい形状です。垂れ耳の犬種や耳の中に毛が多い犬種では、さらに通気が悪くなることで細菌や真菌が繁殖しやすくなります。
この時期に多い「3つのトラブル」
① マラセチア性皮膚炎
皮膚の常在菌であるマラセチアが、高温多湿の環境下で過剰に増殖することで起こる皮膚炎です。
よく出る症状
- 皮膚の赤み・かゆみ
- ベタつきや独特のにおい
- フケ・かさぶた・脱毛
発症しやすい部位は、顔のシワの間、首・わきの下・股・指の間・尾のつけ根など、皮膚が重なってムレやすい場所です。シー・ズー、柴犬、フレンチ・ブルドッグなど、もともと皮脂が多い犬種では特に起きやすい傾向があるとされています。
② 膿皮症(のうひしょう)
皮膚に常在するブドウ球菌が、皮膚のバリア機能が低下した際に過剰に増えて炎症を引き起こす病気です。皮膚が部分的に赤くなり、かゆみが生じるのが特徴。背中やおなか周りに症状が出やすいとされています。
③ 外耳炎
梅雨から夏にかけて特に多く見られる耳のトラブルです。耳の中に湿気がこもることで、マラセチアや細菌が増殖し炎症が起きます。一度発症すると再発しやすい性質があるため、早めの気づきと継続的なケアが大切です。
垂れ耳・耳毛が多い犬種は要注意 コッカー・スパニエル、ゴールデン・レトリーバー、ダックスフンド、トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザーなどは、耳の構造上、湿気がこもりやすいため外耳炎になりやすいとされています。猫の場合も、長毛種や垂れ耳の猫種では注意が必要です。
「あれ?」と気づく早期サイン一覧
参考にした情報
獣医師監修の一般的なガイドライン(皮膚炎・外耳炎の原因と梅雨時のケア)および複数の動物病院が公開する梅雨時の体調管理情報を参照し、事実確認のうえ執筆しています。
以下のサインが見られたら、トラブルが始まっているかもしれません。日々のスキンシップのついでに確認する習慣をつけておくと安心です。
- [ ] 体を頻繁にかいている、または床に体をこすりつけている
- [ ] 皮膚が赤くなっている部分がある
- [ ] フケが急に増えた
- [ ] 被毛がベタつく、または独特のにおいがする
- [ ] 指の間を舐め続けている(指間炎のサイン)
- [ ] 頭を左右に振ることが増えた
- [ ] 後ろ足で耳や首のあたりを頻繁にかいている
- [ ] 耳の中が赤い、または腫れている
- [ ] 耳垢の量が増えた、色が黄・茶・黒になっている
- [ ] 耳から酸っぱいような、または甘いような独特のにおいがする
これらのサインが複数重なる場合や、症状が数日続く場合は、動物病院への受診をおすすめします。
今日からできる「4つのケア」
1. シャンプー後は「完全に乾かす」を徹底する
自宅でシャンプーをした後、被毛が生乾きのままだと、被毛の下が高温多湿になり細菌やカビが繁殖しやすい環境になります。ドライヤーで根元までしっかり乾かすことが重要です。
- 乾かす順番は「顔・耳まわり→胴体→足先・指の間」の順が目安。
- 指の間や脇の下、耳のつけ根など、蒸れやすい場所を特に念入りに。
- 長毛種や乾かしにくい犬種は、トリマーや動物病院でプロに任せるのも一つの方法です。
雨の日の散歩後も同様に、帰宅したらタオルで水気をふき取り、できればドライヤーで乾かしてあげましょう。
2. こまめなブラッシングで被毛の通気をよくする
柴犬のようなダブルコート(二重被毛)の犬種は特に、抜け毛が詰まると被毛の内側が蒸れやすくなります。梅雨の時期は、週2〜3回を目安に(犬種や被毛量によって異なります)ブラッシングを行い、抜け毛や毛玉を取り除いて通気性を保ちましょう。
ブラッシングのついでに皮膚の状態を目で確認できるのも、この習慣の大切なメリットです。
3. 週1回の耳チェックを習慣にする
「においをかいで、目で見て、触れてみる」という3ステップを週1回程度行うだけで、耳のトラブルの早期発見につながります。
- においチェック: 強い酸味・甘み・腐敗臭がないか
- 視覚チェック: 耳の内側の皮膚が赤くないか、耳垢の量や色に変化がないか
- 触れるチェック: 耳のつけ根を軽く触れて痛がる様子がないか
耳掃除をする場合は、過剰にならないように注意が必要です。やり過ぎると耳道を傷つけ、かえってトラブルの原因になることがあると指摘されています。自宅での耳掃除のやり方や頻度については、かかりつけの動物病院で確認しておくと安心です。
4. 室内の湿度を管理する
愛犬・愛猫が長い時間を過ごす室内が高湿度のままでは、ケアをいくら頑張っても限界があります。エアコンや除湿機を活用して、室内の湿度を50〜60%程度に保つのが目安とされています。温度は25〜26℃前後を一つの目安にするとよいでしょう(個体差・体質によって快適な環境は異なります)。
やりがちだけど逆効果なこと
「清潔にしすぎる」落とし穴 気になるからと耳掃除を毎日行ったり、シャンプーの頻度を増やしすぎると、皮膚本来のバリア機能が壊れてしまい、かえって炎症やトラブルが悪化する場合があります。頻度は獣医師やトリマーのアドバイスに従うのが一番です。
皮膚がジュクジュクしているのに洗う 皮膚に化膿やジュクジュクした症状が出ている場合は、自宅で洗うと悪化することがあります。そのままの状態で早めに動物病院を受診しましょう。
受診を後回しにする 「またかいてる、まあいいか」と様子を見続けると、皮膚トラブルは慢性化しやすく、治療に時間がかかることがあるとされています。気になるサインが1週間以上続く場合は、早めの受診が安心です。
こんな子は特に注意を
次の条件に当てはまる子は、梅雨の時期に皮膚・耳のトラブルが起きやすい傾向があります。梅雨入り前からケアを強化しておくと安心です。
- アトピー性皮膚炎や食物アレルギーがある
- 過去に外耳炎や皮膚炎を繰り返している
- 垂れ耳の犬種、または耳の中に毛が多い犬種(プードル、コッカー・スパニエルなど)
- 皮脂が多い犬種(シー・ズー、柴犬、フレンチ・ブルドッグなど)
- 長毛種または被毛が密な犬種・猫種
- 子犬・子猫、またはシニアで免疫力が低下しやすい子
受診を急ぐべきサイン
- 皮膚が化膿している、または大きく腫れている
- 激しいかゆみで眠れないほど体を掻き続けている
- 耳をひどく痛がる、または耳から出血がある
- 耳垢が大量に出て黒く固まっている(耳ダニの可能性)
- 全身に広がるような発疹や脱毛がある
これらは早期に適切な治療が必要なサインです。「しばらく様子を見よう」とはせず、できるだけ早くかかりつけの動物病院にご相談ください。
じめじめした梅雨の季節、完全にトラブルを防ぐことは難しいかもしれませんが、「乾かす・観る・整える」の習慣を積み重ねることで、リスクを大きく下げることができます。まずはシャンプー後の乾かし方と、週1回の耳チェックから始めてみてください。小さな気づきが、愛犬・愛猫の快適な夏へとつながります。
気になる症状や不安がある場合は、必ず動物病院を受診してください。
参考にした情報
- 獣医師監修の一般的なガイドライン(犬・猫の梅雨時期における皮膚疾患・外耳炎の原因、症状、ケア方法に関する知見)
- 獣医皮膚科専門医による犬のマラセチア性皮膚炎の解説(症状・増殖部位・治療方法)
- 動物病院(獣医師)が発信する梅雨時の体調管理に関する一般情報
- ※ 本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状がある場合は動物病院を受診してください。